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春の日は過ぎ行く (2001)

posted Aug 29, 2011
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愛は時間を忘れさせ、

時間は愛を忘れさせる

(フランス諺)


良い映画にも欠点はあります。言い換えれば、欠点がないということが必ずしも傑作ある條件ではないとも言えます。しかし、欠点のない映画はあまり多くありません。許秦豪(ホ・ジンホ)監督の「春の日は過ぎ行く」は、珍しく欠点を捜しにくい映画です。


父親、叔母、それに痴呆にかかった祖母と一緒に暮す、劉智泰(ユ・ジテ)が演じた青年サンウの職業は、さまざまな音を録音するサウンドエンジニアです。サンウの祖母は日々床に座って外を眺め、もうずいぶん前に亡くなった祖父を駅に迎えに行こうと言い続けています。李英愛(イ・ヨンエ)が演じた、江陵(カンヌン)放送局のラジオプロデューサーであるウンスは冬を迎え、自然の音を採取して放送する番組を準備します。仕事のために出会ったサンウとウンスは江原道(カンウォンド)のあちらこちらに通って自然の音を録音します。ふたりは自然に互いに惹かれ合います。内気な青年であるサンウに、ウンスは「結婚だったらすでに一度してみたわ」と何気なく言います。放送局の廊下のソファ−に座って、彼女は彼にふと尋ねます。「消火器の使い方って分か?」


録音が終わって彼らが別れる日、ウンスはさりげなく問いかけます。「ラーメンでも食べて行く?」と。自分の家でラーメンを作ってあげ、彼女はまるでガムでもどう?とでも言うような言い方で、また問います。「泊って行く?」そうして、青年は恋に落ちます。しかし、季節が変わるにつれウンスはますますそっけなくなります。サンウはウンスに自分の両親にあいさつしてほしいと言います。ウンスの態度はもっと冷たくなります。サンウは問いただします。「愛はどうして変わるの?」と。突然サンウを訪ねて来て、ひと晩を一緒に過ごしたウンスは彼に一ヶ月間別れていようと言います。けんかで負けたくないサンウは、今度は自分から先に、いっそ別れようと言います。


しかしウンスを忘れられないサンウは、ソウルと江陵を行き來し彼女の周辺をうろつきます。彼女のそばには新しい男がいます。ウンスはその男にも問いかけます。「消火器の使い方って分かる?」と。愛の熱病を患う多くの男たちのように、サンウはストーカーのようなあらゆるみにくい姿を見せます。彼女の車に鍵で長いきずをつけたりします。彼は忘れられてしまうか心配でつらく、始めから彼女にとっては自分が忘れるに値する存在ではなかったのかと思うと、より苦しみます。正気に戻った祖母がサンウをたしなめます。「通り過ぎたバスと女は探さないことだね。」


また季節が変わり、サンウは相変らず苦しみのなかにいます。彼は忘れようと努力する反面、忘れてしまうか心配で身悶えます。しかしゆっくりと、彼は自分の熱病に打ち勝ちます。時間はそれほどにも残酷なものです。祖父に会わなければならないといって、韓服をきれいに装って家を出た祖母は、結局亡くなた姿で見つかります。彼の痛みを慰めてくれた祖母の遺影を持って、サンウは葬儀バスに座ってぼんやり外を眺めます。残酷な時間がまた過ぎます。


サンウとウンスが道で偶然出会います。ウンスは顔に喜びを浮かべ、サンウは困ったような微笑を返します。ふたりはぎこちないあいさつを交わします。ウンスがサンウにまた付き会おうと言います。サンウは彼女の申し出を断ります。もう彼の顔に熱病の跡はありません。ラストシーン、葦の原の中で目を閉じて風の音を録音しながら、サンウはとてもおだやかに微笑みます。


長い夏が行ったり来たりするということは、地球の他の所、私の知らないどこかにも春の日が来て、また去るという意味でしょう。どこかで、誰かは他の誰かを記憶するはずですが、過ぎ去った一季節の愛は誰もみな忘れてしまうはずです。言いにくいことですが、愛は変わるものだからです。愛を一生に一度だけ経験する人こそもっとも幸せな人ではないでしょうか? また訪れても、去らずにとどまる春はないはずですから。


<蛇足> この感想文を書いたよりずいぶん前に、米国のワシントンで暮しながら、この映画に付いて詩を一編書いてたことがありました。日本語でも意味が通じるかどうかわかりませんが。


<春の日は過ぎ行く


バージニアの夏は長い

立秋が過ぎても草むらの虫は鳴かない

ふっと

ユ・ジテがイ․ヨンエを恨んていた映画思い浮かぶ


彼は忘れられてしまことを恐れ

始めから忘られるに値しなかったのかとつらい

の二つは別段違わない

彼の涙は偏執病


家へ戻り、季節変わり

蝉たち一斉に鳴く


彼は忘れようと努力し

忘れてしまうことを恐れ身悶え

その二つの差は大きい

彼の苦しさは分裂症だ


長い夏が行ったり来たりするのは

地球の見えないところ

私が知らない誰かには

春が去って、再び来るという意味だ


誰かは誰かを記憶

誰でも

皆を忘れる


<終り>


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